Atlético、Barça相手に一歩も引かず

前半のVan BronckhorstのゴールでBarçaが先制し、後半開始早々のTorresのゴールでAtléticoが追いついた試合は緊張感と気迫が感じられた好ゲームだった。
Atléticoは順調に試合までの過程を消化してきた。しかし最後の最後で誤算が生じた。ウォーミングアップ中にGarcía Calvoが負傷し出場できなくなってしまったからだ。そのためVelascoが急遽右のラテラルとして先発することになり、当初右に入る予定だったPereaがセントラルに回った。試合が始まる段階でAtléticoには暗雲が立ち込めていた。
このような状況で試合は始まったが、この今節最大の注目カードは序盤から白熱した展開を見せた。AtléticoとBarçaのどちらも最初から試合の主導権を握ることを強く意識した戦い方だった。そして先に点を取ることの重要性を感じさせる戦い方をしていた。
試合が動くまでにBarçaには二度決定的なチャンスが訪れた。最初は9分のRonaldinhoのヘディングで、これは枠を外れた。そしてもう一つは2分後で、今度はRonaldinhoがフリーキックを直接狙ったがLeo Francoに阻まれた。一方Atléticoは14分にTorresがシュートを放ってVíctor Valdésを慌てさせ、そしてその3分後にはIbagazaがサイドからフリーキックを直接狙ったが惜しくもポストに弾かれた。そして21分にVan Bronckhorstが豪快なシュートを放ちBarçaが先制した。このシュートにはLeo Francoも反応し切れなかった。その後もハーフタイムまで拮抗した状態が続き、双方ゴールチャンスを迎えた。しかしIbagazaのクロスに合わせたTorresのボレーシュートは外れ、ショートコーナーからのVan BronckhorstのシュートはLeo Francoが防いだ。
試合の流れがどちらに傾くか分からない状況で、César Ferrandoはハーフタイムの前後で動いた。前半42分にSalvaがColsaに代わって入り、さらに後半頭からSosaをMusampaに代えて投入した。そして後半はそのSosaとLuccinで中盤の底を形成し、Ibagazaが左でTorresがトップ下。そしてSalvaがトップに入るというAlbacete戦の終了時と同じ形に変えた。
後半はこれ以上無いというくらいの立ち上がり方を見せた。開始早々Torresが自分で仕掛け、これは相手ディフェンスに阻まれた。しかし後半4分、Leo Francoの前線へのロングパスをSalvaが頭ですらし、それを受けたTorresがPuyolを振り切ってエリア内へ持ち込み、同点ゴールを決めた。Barçaも反撃に転ずるのに多少時間は掛かったが、XaviとRonaldinhoの素晴らしいプレーによってリズムを取り戻す。二人合わせて三度チャンスを迎えたが、いずれも勝ち越しゴールには結び付かなかった。
この試合でAtlético守備陣は素晴らしい働きを見せ、チームを支えた。しかしながら主審であるDaudén Ibáñezのあやふやな反則の基準や、SalvaやTorresの正しい位置からの飛び出しをオフサイドにしてしまった副審が試合に水を差してしまったことは否めないだろう。

得点経過
1-0, m.21: 左からエリア内に進入しようとしたRonaldinhoのドリブルをVelascoがカットするも、こぼれ球をVan Bronckhorstがダイレクトでゴールマウスへ叩き込む
2-0, m.49: Leo FrancoからのロングボールをSalvaが後ろ向きに前線へ流し、そのボールに反応したFernando TorresがPuyolの追撃を振り切りVíctor Valdésの上を越すシュートを決める


試合後の監督、及び選手のコメント
  • César Ferrando監督 : 「Barcelona相手に引き分けるのは簡単なことではない」
    「Barcelonaのような偉大なチームと引き分けるのは簡単なことではないと思う。私は選手たちの試合に対する意気込みには非常に満足している。私たちは地方のチームと対戦していたわけではなく、良い選手が数多くいるBarcelonaというチームと対戦したんだ。相手に対して少しは敬意を表するのは当然のことだ。前半は彼らが試合をコントロールし私たちのプレーをさせてくれなかった。相手が私たちを上回るようなプレーをしたら素直に賞賛するしかないだろう。私たちがボールを支配するのを放棄したわけではなく、彼らがそれをさせてくれなかったんだからね。試合自体は80分までは拮抗していた。Barcelonaという偉大なチームに対しても一歩も引かなかった。私たちは団結し、良いプレーをし、そして得点チャンスを作った。これからも毎週日曜日にはBarcelona戦と同じような気持ちで戦っていきたい。(Salvaを先発で起用しなかったことに関しては)私が監督であり、私がそうした方が良いと思ったからそう決めただけだ。」
  • Frank Rijkaard監督 : 「勝つために来たのだから満足していない」
    「序盤は試合をコントロールできたし良かったと思う。しかし後半になってAtléticoがダイレクトプレーを見せるようになってから状況は悪化した。同点ゴールは私たちのプレーに影響を及ぼしてしまった。ただその後選手たちは反撃に転じ、得点チャンスも作った。だがこのときを境に試合はどちらに転ぶか分からなくなってしまったことも事実だ。どちらもゴールを決める可能性があったからね。試合を通して考えると引き分けは妥当だろう。勝つために来たのだから満足はしていないが、正当な結果だろう。ただもう少し運があればもっと点は取れたかもしれない。とは言えこのように自分たちのプレーができていれば問題は無い。相手もいることだしね。(Oleguerを下げたのは)これからも多くの試合があるからだ。チームは全体として機能しなければならないし、そのためには多くの選手が出られることが望ましい。Edmilsonは素晴らしい選手であり、前半はプレーの切り替えやスペースへの飛び出しなど随所に彼らしいプレーを見せてくれた。時間が経つにつれ後ろに押し下げられたが全体的には満足している。Gerardが違和感を覚えたこともあるが、それ以上に彼がリズムをつかんでくれればと思って先発させたんだよ。」
  • Fernando Torres : 「Barçaが僕たちに勝てなかったことは誇りに思う」
    「前半はBarcelonaペースだったけど、後半は拮抗した。双方に得点チャンスが生まれ、最終的には引き分けだったけど妥当な結果だろう。お互いが相手に対して敬意を払い、上位進出を目指している。だから僕たちはこのような偉大なチームと互角に渡り合えることを示したかった。観衆にもこのことは伝わったんじゃないかと思う。今シーズン調子がよいのは相手に対して一歩も引かないからだと思う。だから今日もチャンスが作れたし、同点にすることもできたんだ。両チームの差はシステム以外はあまり感じなかったね。Barçaには試合を決めることのできる選手が僕たちよりも多くいるかもしれないけど、実際Atléticoは一歩も引かず、そして今良い状態にあるBarçaが勝つことができなかった。11人が団結した状態の僕たちに勝つのは大変なことだと思うよ。Barçaが僕たちに勝てなかったことに対しては誇りに思っていいんじゃないかな。僕自身は得点するチャンスは何度かあり、同点ゴールはそのうちの一つだ。Puyolは相手にとって非常に厳しい選手だ。今回は彼を振り切って決めることができたけど、外してもおかしくはなかったね。」
  • Perea : 「チームはまとまってきている」
    「セントラルは新しいポジションでも何でもなく、僕が一番なれているポジションで、しかも一番やりがいを感じるポジションでもある。プレー自体はまずまずだったと思うよ。僕たちの自信は日に日に深まり、そしてそれがピッチにも反映されてきている。チームはまとまってきており、このままの調子で今の順位をキープしていきたいね。」
  • Deco : 「良い結果だ」
    「この結果は僕たちにとって良いものだ。勝ち点を加えることはいつでも良いことだからね。僕たちが良いサッカーを続けていることは見せられたと思う。Atléticoには野心溢れる選手が数多くいるので、この調子なら大きなことをやっても不思議じゃないと思うよ。」
  • Van Bronckhorst : 「ボールが目の前に来たときにはゴールを決めることしか頭になかった」
    「Atléticoは良いプレーをし、強さも見せていたため僕たちはあまり多くのチャンスを作ることができなかった。そして数少ないチャンスもものにできなかった。逆に彼らは僕たちのミスを突き、同点ゴールを決めた。僕のゴール?ボールが目の前に来たときはゴールを決めることしか頭になかったよ。最大のチャンスだと思ったからね。残りは35試合も残っていることを考えれば結果自体は悪くは無いだろう。尤も僕たちはいつでも勝ち点3を取りにいっているんだけどね。」
  • Xavi : 「勝ち点2を失った」
    「僕たちは毎試合勝利を目指し、今回も最初からそのためのプレーをしたが、残念ながら勝利を手にすることはできなかった。僕たちは彼らよりも多くのチャンスがあり、また彼らよりもよりゴールの可能性が大きいものもあった。ボールを支配したのはBarçaだったが、勝ち点を得ることだけは失敗してしまった。」
  • Puyol : 「もっと良い結果が得られても良かったと思う」
    「試合全体のチャンスの数を考えるともう少し得るものがあっても良かったと思う。Atléticoは厳しい相手だということは分かっていたが、それでも僕たちは彼らを上回ったと思っている。結果は両チームにとって良いものだったと思うが、僕たちはもう少し得られたんじゃないかな。」
  • Sergi : 「これからの僕たちは脅威に思われるだろう」
    「この試合はAtléticoの今シーズンを占う上で非常に重要な試合だった。今までの試合結果を考えるとこれからの相手は僕たちを脅威に思うんじゃないかな。Barcelona相手にチームがやったことに関してはとても満足している。引き分けという結果だけではなく、内容も良かったからね。」
  • Víctor Valdés : 「引き分けは正当な結果じゃない」
    「試合を完全にコントロールしていたと思っているのでこの結果は残念だ。彼らがボールを支配していた時間帯もあったが、チャンスがより多かったのは僕たちの方だった。僕には引き分けと言う結果は正当なものに思えないけど、サッカーではこういうことも起こりうるんだよ。」
  • Jorge : 「試合に対する気迫と心構えはは10点に値する」
    「試合に臨むための気迫と心構えは10点に値するんじゃないかな。そして90分間の試合では良い時間帯もあったしあまり良く無い時間帯もあったけど、僕たちは他でもないBarcelonaと試合をしていたんだ。しかもここまで素晴らしい内容の試合を展開しているチームだ。Atléticoが上位を維持するためにはこのやり方を継続していかないといけないと思う。」

Liga Jornada 3 : Atlético vs Barcelona (Vicente Calderón - Madrid)

Atlético
1 0 前半 1 1
Barcelona
1 後半 0
GK 25 Leo Franco 《3》
DF 2 Velasco 《2》
21 Perea 《4》
22 Pablo 《3》
12 Sergi 《3》
MF 4 Colsa 《2》
(19 Salva 《3》, m.42)
23 Luccin 《3》
10 Jorge 《2》
(15 Aguilera 《2》, m.69)
18 Ibagaza 《3》
8 Musampa 《2》
(7 Sosa 《3》, m.46)
FW 9 Fernando Torres 《4》
     
監督   César Ferrando
メンバー
GK 1 Víctor Valdés 《2》
DF 2 Belletti 《2》
23 Oleguer 《3》
(4 Márquez 《3》, m.58)
5 Puyol 《3》
12 Van Bronckhorst 《3》
MF 15 Edmilson 《3》
6 Xavi 《4》
20 Deco 《3》
FW 8 Giuly 《3》
10 Ronaldinho 《2》
(24 Iniesta 《3》, m.75)
9 Eto'o 《1》
(7 Larsson 《2》, m.46)
     
監督   Frank Rijkaard

Fernando Torres (m.49)
得点 Van Bronckhorst (m.21)
Colsa (m.29)
Ibagaza (m.50)
Pablo (m.54)
Sosa (m.82)
警告 Eto'o (m.40)
退場
9 シュート数 13
2 枠内シュート数 6
0 P.K. 0
4 オフサイド 6
1 コーナーキック 10
28 反則数 19
43% 支配率 57%
主審:Daudén Ibáñez

(名前横の数字はMUNDO DEPORTIVO紙による採点 - 4:優 3:良 2:可 1:不可)